埼玉県長瀞町の小さな焼き芋屋さん『長瀞壷焼き芋専門店 moriko』。そこには、50代で焼き芋の魅力に目覚めた京子さんと、その夢を全力で支える夫・美彦さんの物語があります。幼い頃には気づけなかった焼き芋の優しい甘さが、認知症の母の介護に追われた京子さんの心を癒し、新たな人生への扉を開きました。独学で学び、自宅を改装して始めた焼き芋屋さんは、家族や地域の支えを受けて、心がほっこり温まる場所へと成長。焼き芋を通してつながる笑顔と温もり、そして新たな挑戦――そんな素敵な物語をご紹介します。
~ほっこり幸せ!焼き芋屋さん~
埼玉県秩父郡長瀞町で、心温まる焼き芋屋さんを営む小森京子さん(60歳)と夫の美彦さん(59歳)。「長瀞壷焼き芋専門店 moriko」は、京子さんの焼き芋への深い愛情と、家族の支え、そして地域との交流から生まれた小さな幸せの場所です。
京子さんは秩父市に生まれ、小学生の頃に長瀞町へ移住。幼い頃、祖母が焼いてくれた焼き芋には当時気づけなかった「美味しさ」がありました。高校卒業後、化粧品の販売員として働き、青春時代にキャンプで出会い5年交際した美彦さんと23歳で結婚。子育てと仕事に励む日々を送りますが、50代半ばに大きな転機が訪れます。
認知症になった母・和枝さんの介護のため、京子さんは仕事を辞めざるを得なくなります。そんな中、姉・千惠子さんが訪問時に持参してくれた焼き芋の甘さに心を癒され、「焼き芋」に強い興味を抱くようになりました。さまざまな品種を食べ比べる中で、焼き芋への愛情が深まり、「焼き芋屋さんをやってみたい!」という夢が芽生えます。
調べる中で、壷焼き芋なら自宅でも可能であることを知り、さらに美彦さんの後押しを受けて起業を決意。独学で壷焼きの技術を学び、2022年、自宅の一部を改装して『長瀞壷焼き芋専門店 moriko』をオープンしました。
心と体を温める焼き芋
京子さんが選ぶサツマイモは、すべて自ら納得したものだけを厳選。農家から直接仕入れ、季節ごとに品種を変えることで、常においしい焼き芋を提供しています。壷焼きの技術でじっくり火を通されたお芋は、自然な甘さとホクホク感が際立ち、一度食べたら忘れられない味わいです。
休日には次男の隼さんもお店を手伝い、家族一丸となって京子さんを応援。地域の人々とも温かい交流を重ね、お店は京子さんの夢だけでなく、家族と地域の絆を深める場所になっています。
焼き芋の可能性を広げる試み
この日、京子さんは新作デザートとして米粉を使ったお芋のマフィンを試作。焼き芋好きになるきっかけをくれた姉・千惠子さんに試食してもらいました。辛口で知られる千惠子さんですが、米粉のマフィンのアイデアを評価。「改善点はあるけれど、良い発想だ」と前向きな意見をもらい、新たなチャレンジへの励みとなりました。
焼き芋がつなぐ幸せ
50代で焼き芋の魅力に気づき、勇気をもって夢を叶えた京子さん。その背景には、夫の美彦さんや家族、そして地域の温かい支えがありました。『長瀞壷焼き芋専門店 moriko』は、焼き芋を通して心がほっこり温かくなる、まさに幸せの場所です。
長瀞町の優しい空気の中で、焼き芋を片手に幸せをかみしめてみませんか?京子さんと美彦さんの笑顔が迎えてくれる、このほっこりとした焼き芋屋さんは、きっとあなたの心も温めてくれるはずです。