SNS、特にTikTokやInstagramで「ザクザク食感がたまらない」と話題沸騰中のドバイチョコレート。その魅力に惹かれる一方で、多くの人が一枚数千円という価格に驚きます。「なぜこんなに高いの?」という疑問に答えるため、本記事ではその価格を構成する要因から、世界的な人気の背景、そして気になる味の評価まで、あらゆる角度から徹底的に解説します。
なぜ高い?ドバイチョコレートの価格を構成する5つの要因
一見するとただの板チョコレートに見えるかもしれませんが、その価格の裏には、希少な素材と職人の手間暇、そして巧みなブランド戦略が隠されています。ドバイチョコレートが高価である理由を、5つの具体的な要因に分解して見ていきましょう。
本物のメーカーと発祥はどこの国?
まず理解すべきは、このブームの原点、すなわち「本物」のドバイチョコレートです。発祥はドバイ(アラブ首長国連邦)で、製造元は「Fix Dessert Chocolatier」という新進気鋭のショコラティエです。彼らの商品は基本的にドバイ国内のデリバリーサービスなどでしか購入できず、生産数も限られています。この圧倒的な希少性が、転売市場などで価格を吊り上げ、ブランド全体の高級イメージを確立しました。日本で私たちが手に取る商品の多くは、トルコや韓国のメーカーがそのレシピに倣って製造した「ドバイスタイル」チョコレートであり、本家へのリスペクトを込めた高品質なものが多くなっています。
価格を押し上げる高級原材料
ドバイチョコレートの価格が高い最大の理由は、他のチョコレート菓子とは一線を画す、贅沢で高品質な原材料にあります。
- 高品質なピスタチオ: ただのピスタチオではありません。特にトルコ南東部ガズィアンテプ産の「アンテプ・ピスタチオ」など、風味が濃厚で緑色が鮮やかな最高級品がふんだんに使われます。これらは収穫に手間がかかり、世界中で需要が高いため、非常に高価です。
- 高品質なチョコレート: ベースとなるチョコレートには、カカオバター以外の代用油脂を含まない「クーベルチュールチョコレート」が使用されることが多く、その中でもベルギー産やスイス産といった定評のあるものが選ばれます。滑らかな口溶けと豊かなカカオの香りは、この品質から生まれます。
- 中東ならではの素材: 風味のアクセントとして、世界で最も高価なスパイスであるサフランや、華やかな香りのローズウォーター、ごまペーストのタヒニなどが加えられることもあり、これら全てがコストを押し上げる要因となっています。
独特の食感を生む「カダイフ」とは?
ドバイチョコレートを唯一無二の存在にしているのが、ザクザク、シャリシャリとした驚きの食感です。その正体は「カダイフ」。これは小麦粉やトウモロコシ粉を水で溶き、熱した鉄板の上に細く垂らして作られる、中東や地中海地域で伝統的に使われる極細麺状の生地です。「天使の髪」とも呼ばれるほど繊細で、バターで香ばしく炒めることで、他に類を見ない軽やかでクリスピーな食感が生まれます。この特殊な食材の製造と調理の手間が、価格に反映されています。
職人技による手作りと豪華なパッケージ
多くのドバイチョコレートは、オートメーション化された工場での大量生産品ではありません。熟練した職人が、チョコレートの艶と口溶けを決定づける「テンパリング」という温度管理を精密に行い、ピスタチオフィリングとカダイフの層を一つひとつ丁寧に手作業で重ねていきます。この手間暇が、大量生産品にはない品質と価値を生み出します。さらに、ドバイという都市が持つ豪華絢爛なイメージを体現する、金のスリーブや美しい化粧箱など、開封体験まで計算された豪華なパッケージも、全体のコストを構成する重要な要素です。
高くても人気!ドバイチョコレートの魅力とリアルな評価
これほど高価でありながら、なぜ世界中の人々がドバイチョコレートを求めるのでしょうか。その抗いがたい魅力と、購入前に知っておきたい正直な味の評価について深く掘り下げます。
なぜ人気?ブームのきっかけは五感を刺激するASMR動画
ドバイチョコレートが世界的な現象となった直接のきっかけは、TikTokやInstagramリールに投稿されたASMR動画です。インフルエンサーが分厚いチョコレートを「パキッ」と割り、ザクザクと咀嚼する音が、視聴者の聴覚を強く刺激しました。「どんな味がするんだろう?」「この音を自分でも体験したい!」という欲求を掻き立て、特にトレンドに敏感な若者が多い韓国で爆発的にヒット。その熱狂が国境を越え、日本へと伝播しました。
気になる味は?「まずい」という噂の真相
「高いのにまずい」というネガティブな意見が一部で見られるのは、市場に品質の異なる様々なドバイスタイルチョコレートが混在しているためです。本家や、それに準ずる高級ブランドの製品は、濃厚で香り高いピスタチオの風味と、カカオの香りが豊かなチョコレートが見事に調和し、ザクザクとした食感がアクセントとなった、まさに絶品のスイーツです。一方で、コストを抑えた安価な類似品の中には、ピスタチオの香りが人工的であったり、カカオバターの代わりに植物油脂が多く使われ、口溶けが悪く油っぽい「まずい」と感じられるものも確かに存在します。
PLAZAでも買える?日本の入手方法
現在、日本ではPLAZAやカルディ、成城石井、ドン・キホーテといった輸入食品を扱う店舗で入手できる機会があります。ただし、その人気から入荷後すぐに完売することがほとんどで、まさに「幻のチョコレート」と化しています。各店舗のSNSをフォローしたり、百貨店のバレンタイン催事やオンラインストアをこまめにチェックしたりするのが、入手確率を上げるコツです。
家庭で再現!カダイフの代用アイデア
本物のカダイフは専門店や通販でないと手に入りにくいですが、家庭でもあの食感を再現して楽しむことは可能です。「カダイフ」の代用品として最もポピュラーなのが、そうめんや春巻きの皮、皿うどんの細麺です。これらをできるだけ細かく砕き、たっぷりのバターで焦がさないようにじっくりと、きつね色になるまで炒めることで、本物に近いクリスピーな食感を作り出すことができます。
まとめ:ドバイチョコレートはなぜ高いのか
結論として、ドバイチョコレートが高いのは**「最高級の原材料への対価」「専門的な職人技術への対価」「豪華なブランド体験への対価」「世界的な需要と希少性による市場価値」**という、複数の付加価値が重なり合っているためです。これは単なるお菓子ではなく、中東の食文化、職人技、そして現代のSNSトレンドが融合した「食のエンターテイメント」であり、その特別な体験に対して価格が設定されていると理解すると、その価値が見えてくるでしょう。
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